弱り目に祟り目
花山天皇に矢を射かけた「長徳の変」での
伊周、隆家境涯への処分については、
一条天皇も厳しく行う方針となったのは
当然とは思います。
当時死罪はなかったのことですが、
死罪に値するほどの事件であったとのことです。
それを、大宰府への左遷で済んだのは、
定子の懇願もあったでしょうし、
道長も処罰を重くしないように
取り計らったからと思われます。
藤原伊周は、関白道隆の長男で、
関白道隆が伊周への関白移譲を
望んでいたので、
伊周の人望があったならば、
そのまま関白となり、
道長がTOPに君臨することは
ありませんでした。
この伊周という男はなんともったいない
男なのでしょうか。
関白の長男で、家柄もよく、
和歌の才もあり優秀で、イケメンであり、
履歴書上はスペシャルで文句もないのですが、
なんとも残念なのは、
まったくもって人望がないことです。
この伊周とは本当に乱暴に言ってしまうと、
ドラえもんの友達で例えるならば、
ルックスや、優秀さはデキスギ君で、
性格や行動がジャイアンのような人間・・・・。
ちょっと乱暴すぎましたか?
でも、このもったいなさを理解するために、
敢えて言いますとデキスギ君の
プラスをジャイアンのマイナスが
超過しているような感じ・・・
(なんとも稚拙な説明ですみません)といったら、
直球でおわかりいただけるのではないかと思いました。
ルックスと頭脳がデキスギ君ならば、
ジャイアン度を少し下げて、
デキスギ君のプラスがマイナスに
ならないぐらいのジャイアン度であれば、
確実に関白になって、
道長は歴史の表に出てくることのない、
冴えない藤原の三男坊で
歴史にも表に出てこなかったのではないでしょうか。
この伊周が生きた世界は、
藤原の親族の集まりの中の政権ですので、
いわゆる他人の飯を食ったことのない人間なのです。
ビジネスの世界では、
同族企業の後継者をはじめから、
自社に入れずに、他社であえて就職させて、
他人の飯を食って、
外の厳しさを理解させることをやります。
もちろん、大学を卒業してそのまま、
父親の会社に入って立派な経営者に
なっている方もたくさんおられます。
しかし、伊周のような、
ジャイアン気質の後継者であれば、
外で修業させることは必要だと思います。
外での会社での刺激や挫折が
その後継者の悪い部分を削って、
中にある素晴らしい部分を
輝かせることもあります。
伊周のような同族企業の後継者はいます。
同族企業の後継者であった
私の身内にも伊周に近い親族がおりました。
過去形であることはいろいろな
意味があるのですが。
同族企業の後継者問題は、
その起業の命運を握ることは言うまでもありません。