藤原行成は社長室長
「一帝二后」というタイトルの回でしたが、
藤原道長および頼道の政権絶頂期を
支えることとなる彩子が中宮になり、
定子と合わせて「一帝二后」に
なってゆく物語の回でした。
一条天皇が定子に執着して
政治を顧みない状況の中で、
彩子が中宮になることは、
大きなターニングポウントになります。
道長としては、なんとしても、
一条天皇に彩子を中宮にすることを
認めてもらわなければなりません。
一条天皇は、彩子入内は認めたのですが、
今の時点で彩子を中宮にする
つもりはありませんでした。
道長としては、
定子に皇子が誕生した状況であるので、
定子の背後にいる伊周の力が回復することを
阻止するために、
なんとしても彩子を中宮にする必要がありました。
そこで活躍したのが、藤原行成です。
行成は、道長よりも6歳下で、
道長政権下で蔵人頭に抜擢されると、
細やかな気遣いで実務に能力を発揮、
欠かせない存在となりました。
行成のポジションは、
ビジネスで考えると社長室長のポジションと
いえるのではないでしょうか。
社長のビジョンを組織にも伝えたり、
組織からの情報、要望等を社長に伝えたり、
意見を申し入れたりする役割です。
社長のビジョン、
施策が会社組織に受け入れられやすい場合は、
社長室長もやりやすいのですが、
社長の施策を組織が受け入れられないときは、
社長室長はその調整役として、
社長の方針と組織を代表する
重役の間に入って、苦しい立場になります。
定子を寵愛し、彩子を中宮にする気がない
一条天皇と娘の彩子を中宮にすること
を認めさせたい道長の間に
挟まれることになります。
まさに、自己中なポンコツオーナー社長と、
敏腕サラリーマン専務の間に立った
社長室長のようではないですか?
ここで、皆さん同じ思いなのは、
道長が直接一条天皇を説得すればよい、
言い換えれば、敏腕サラリーマン専務が、
自己中なオーナー社長に
直接交渉すればよいと思いますよね。
今でもそうですが、
天皇が、一般の人間が直接話をし、
自分の意見をすることができないのという
存在であるために、
あいだを取り持つ人が必要で、
天皇に対してのコミュニケーションを
行うためには行成のような
役職が必要になります。
一方でビジネスの会社においても
社長の補佐的に配置されている
社長室長が存在する組織があります。
中でもオーナ社長との
コミュニケーションがうまくいかない会社では、
社長室長は苦労しているようです。
直接話したくない部下が多く、
その間に立たされるポジションが
社長室長なんです。社長室長は、
周りからめんどくさいオーナー社長の
おもりを任されて、
社長への伝達を頼まれるなんとも
面倒な役回りになります。
さて、行成に話を戻しますと、
道長は、彩子を中宮にするように
一条天皇を説得するように指示します。
一方で一条天皇は、
母詮子の説得もあり、
行成に彩子を中宮するつもりでいることを
行成に話をします。
その状況を道長に伝え、
道長は行成にお礼を言います。
しかし、その後、定子を贔屓したい
一条天皇が行成を呼び出して、
彩子を中宮にすることを考え直すことを
行成に相談すると、
尊敬する道長の命でもあるために、
一条天皇に一世一代の意見具申を行い、
彩子中宮誕生に大きく寄与した
シーンがありました。
ポンコツオーナー社長に
意見具申をする社長室長が
多くいると思いますが、
社長室長は、苦しいポジションになるでしょうね。
トップがまともであれば、
社長室長がいらないかもしれません。
とにかく今回の「光る君に」での、
日頃温厚で優し気な行成の意見具申の
シーンはしびれました。